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「常に新しいことに挑戦」
東京ヤクルトスワローズ ファンクラブ運営担当 (株)ヤクルト球団 岸翔子さん
2020.12.16
2013年、(株)ヤクルト球団はぴあとともに球団公式チケット販売サイト「スワチケ」を始動。現在、ぴあからヤクルト球団に2名の社員が出向し、チケット関連業務に勤しんでいる。今回お話をうかがった岸さんは2015年同社に入社後、チケット業務担当として「スワチケ」に携わり、今はファンクラブ運営を担当しています。根っからの“スポーツ女子”岸さんはなぜヤクルト球団に入社したのか。実際の仕事はどのようなものなのか。スポーツビジネスのリアルに迫ります。
――今のお仕事内容を教えてください。
ファンクラブの企画、会員獲得のプロモーション、事務局との連携、ファンサービスのイベントなど、それらを含めたトータルなファンクラブ運営業務がメインです。さらに、さまざまな年間イベントも。今年は9月にレディースデーを開催したんですが、ほかにも色々なイベントの企画運営もやります。
――ヤクルト球団に入社したきっかけは?
入社は2015年なんですけど、ちょうどスワローズ優勝の年だったので“勝利の女神”って自分で言ってました(笑)。中途で入ったんですが、前職は旅行会社です。元々スポーツにまつわる仕事はしたかったんですが、大学がスポーツ系の学部で、なかなか新卒を取る世界じゃないということを聞いていたので、だったらせめて同じサービス業というか、お客さんに形ではなく体験を売るというところで、スポーツと何かしら共通点があるんじゃないかなと考えて旅行会社に。でも、いずれはスポーツの世界で仕事ができるといいなとは思ってました。入社して4年経った頃に、先輩社員からヤクルト球団の公募を教えてもらい応募しました。
――実際に共通点はありましたか?
法人営業の募集枠でヤクルト球団に入社したんですが、入ってみたら実際には違う仕事をいろいろやることになって、最初はまったくわからなかったですね。ただ、前職で航空券や鉄道のチケット、団体客用のチケットの手配などをしていた経験があるので、なんとなくのチケット販売の仕組みがわかっていたことはよかったです。
――実際にスポーツ業界に転職してみていかがでしたか?
私が入った年はスワローズ変革の年だったんです。2013年にぴあさんのバックアップにより「スワチケ」がスタートして、2015年に優勝したので、一気にファンクラブの人数が増えてきていました。それまでスワローズは、当日でもいつでもチケットが買える、そんなイメージだったんですけど、チケット販売の仕組み変えていかないといけないということで、外野を指定席化したり、フレックスプライスを導入したり。そういう時期に飛び込めたというのは非常にラッキーだったなと。
旅行業界とスポーツ業界っていくつか共通点はあるんですが、チケットの仕組みなんかははるかに旅行業界のほうが先を行っていて、スポーツ業界はそれになんとか追いついてきたところですよね。でも、ファンやユーザーが何を求めていて、自分たちがそれをいかに汲み取って提供できるかというところは、結局のところ一緒なのかなと。ただ、元々スポーツが好きだと、ファンの熱量に共感することができるので、ニーズを感じ取りやすいというのはあるかもしれないですね。
――「スワチケ」のシステムはファンの方にすぐ受け入れられたんですか?
パ・リーグ中心ですがすでに自社販売システムを導入している球団も多かったですし、それこそ旅行やホテル、飛行機だって価格変動がもう当たり前でしたから、そういう世の中の流れに乗っかることができて、わりとすんなりいったんじゃないかなと。
――「スワチケ」のメリットは?
一番はやっぱり「買いやすい」ってことだと思うんですけど、これまでスポーツの世界だとそれが当たり前じゃなかったんですよね。野球が好きな人ほど「私は絶対この席で見たい」っていうこだわりもあるので、スワチケだと“早く、自分のお気に入りの席を、割引で買える”というところがやっぱりお客さんにとってはメリットだと思いますね。
――現在携わっているファンクラブ運営で苦労している点はありますか?
範囲がめちゃめちゃ広いというか、1つの会社をやるくらいの勢いですね。一口にスワローズファンといっても、超熱烈な方もいれば、年に1、2回試合に行くという方など、いろんな目的の方がいらっしゃるので、そのありとあらゆる方々にどういう会員サービスが受け入れられるのか、ありとあらゆるアンテナから汲み取らないといけないという点は難しいです。特にいま会員がどんどん増えていて、そうなるとニーズもどんどん高度化しますし、年々レベルアップしていかないといけない。でもそこがおもしろいところです。
また、私たちが「これは素晴らしいサービスだ」「きっとファンの方も喜ぶに違いない」と思ってやることでも、必ずしもそう受け取られないこともありますし、その伝え方も大事ですよね。ファンクラブ担当は2人なので、企画を作るだけで精いっぱいで、「じゃあこれをどうやってお客さんに伝えるか」っていうところまで頭が回らないこともあります。でも、いろんな人の手を借りながら、企画からプロモーションまで全部自分たちでやるというのはやりがいの1つでもあります。
ファンクラブはお手本がないんですよね。それぞれのファン層や雰囲気も違うし、立地、環境、歴史も全然違うので、各球団によって方向性も違っていて。でも他球団のメルマガとかたくさんとっています。他球団のファンクラブにも入ってます、自腹で(笑)。「ここはいいな」って気になったところは結構入ってます。
――ちなみに、ヤクルトファンの方々の特徴とは?
優しいですね。ファミリー感があります。チームが弱いときも支えてくれて心強いです。
――ファンイベントでは選手の稼働も必要になるときもあるかと思いますが、どういった調整をされるんですか?
今年は新型コロナウィルスの影響でなかなかできなかったんですけど、例年は選手稼働のイベントもやらせてもらってるほうだと思います。ちゃんと「こういう趣旨で、こういう方を対象に、こういう企画をしたいんです」ってことが明確であれば調整はすんなり進みます。
――ヤクルト球団の社風やカラーなど、仕事の姿勢においてみなさんが大事にしている点はなんでしょうか?
今いる部署では、“新しいことを絶対やる”ということは意識しています。例年と同じイベントをやるときも何か1個新しい試みを入れてみるとか、ファンクラブでも何か新しいサービスを1年に2、3個出してみるとか。「新しいことをやってみたい」ということに対して上司の理解はすごくあると思っています。人数が少ない分、裁量が大きいというか、自分で責任を持ってやれば、やらせてもらえる環境ですね。
――どういう人がスポーツ業界に向いていると思いますか?
明確にどうなりたいかって考えることができる人でしょうか。ファンの人が喜んでくれる、球団の売り上げが上がる、自分がひとつレベルアップできる、などいろいろあると思うんですけど、目標とか目的が見えてる人が活躍するのかなって気がしますね。
――これからスポーツ業界で働きたいと考えている人に期待することは?
スポーツ業界って、すごくハードルが高くて超特殊な世界だと思ってましたし、そう言われるんですけど、そうでもない気がしてるんです。特にビジネスの世界において、スポーツ業界は何かがすごく進んでるわけでもないですし、むしろほかの業種から勉強することもまだまだたくさんあると思います。ほかの業界の進んでいるところを色々取り入れて、スポーツ業界も伸びていかないといけないと考えると、最初からスポーツにこだわらくてもいいのかなと。働く根本は一緒だと思うので、どの業界の強みをスポーツに持ってきても通用すると思うので、スポーツだからとか、プロ野球だからとか、そういう気構えは要らないかなと思います。
――最後に、岸さんの目標を聞かせて下さい。
そのうち異動もあるでしょうから、チケット、ファンクラブ、イベントなど、今まで経験させてもらった集大成というか、1年だけじゃなくて、今後2年3年続いていくようなイベント企画を残したいですね。
<岸さんのお仕事グッズ> NPB(日本野球機構)の手帳と東京ヤクルトスワローズのペン
ぴあから出向している石津と岸さん つば九郎と共に
PROFILE
岸翔子
株式会社ヤクルト球団 営業部 営業企画グループ
東京ヤクルトスワローズ公式サイト Tokyo Yakult Swallow
東京ヤクルトスワローズ公式Twitter
RELEASE
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