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【ぴあ×オフィシャルパートナー】#1 playground 株式会社(後編)
「5年、10年とスポーツビジネスを発展させていくためには何が必要か」
playground 株式会社 伊藤圭史代表取締役
2021.03.23
「ぴあスポーツビジネスプログラム」(以下PSB)は、playground株式会社とオフィシャルパートナー契約を締結。スポーツビジネスにおける人財強化を目的として、今後のPSBの取り組みの中で、テクノロジー領域に関する講義の共同開発など、PSBを通してスポーツ×テクノロジーを加速させる取り組みをplayground 株式会社と共に創っていきます。
チケットぴあには電子チケット、ライブ配信などスポーツ・エンタメの包括的なDXを推進するエンタメDXプラットフォーム「MOALA」を提供している同社。「MOALA」はVリーグ、ラグビートップリーグ、埼玉西武ライオンズ、吉本興業などの企業も導入するなど、今注目のサービスです。
――現在playgroundが扱っている電子チケットの中でスポーツの割合はどのくらいですか?
弊社の取扱いでいうと1/3くらいじゃないかと思います。僕自身は、もっとスポーツは電子チケットにできるのではないかなと思ってるんですがイマイチ進んでない。理由は色々あると思うんですがその一つは意思決定が複雑だということはなんじゃないかな、と。今、音楽ライブでデジタル化の動きが拡大していますが、チケットに限らない話でいうと元々はスポーツのほうが早かったんです。なぜかというと、スポーツ業界のほうが圧倒的に物事をビジネスで捉えているので、ディスカッションの中で「デジタル接点作ってCRMにつなげましょう」みたいな話はとても伝わりやすく、すぐに「取り入れたい」という話になります。一方、音楽などエンターテインメント業界はスポーツと違って、ビジネスの前に、まずはアーティストの人気を向上させることに集中しなければいけないので「どうビジネスでデジタルを活用しようか」という議論はどうしても一歩遅れます。じゃあなぜ逆転したのかというと、その理由が意思決定の複雑さということになります。
具体的には2つの壁があり、その1つはスポンサーです。スポンサーに相談するところでまずスタックする。さらに、スポンサーからいただいているお金に対して、こちらの施策が上回らないとROIが見えないという複雑なROI設計になっている。もう1つはリーグやチームの構造です。チームがやりたくてもリーグが、リーグがやりたくてもチームが、というように、複数の人の意思決定が行われないとものごとが進まない。DXは良くも悪くもあらゆる領域に影響を与えるので、そういう意味でスポーツ業界におけるDXは一筋縄ではいかないところがあるなと思います。
――今後どのようにその壁を越えていこうと考えてますか?
一番はクレームが来るくらいの未来に挑戦し続けることだと思います。“イノベーションのジレンマ”という理論がありますが、スポーツ業界は(一切の含みなく)優秀なビジネスパーソンがとても多いので、ちゃんとROIを試算して「DXすると(少なくとも短期的には)マイナスになる」という結論に至れるんです。もちろん、将来的に変わらなきゃいけないことはみんな理解しているんですが、DXは少なくとも短期的にははやっちゃいけない、となる。既存ファンやスポンサー、パートナーに迷惑をかけるようなムチャクチャな意志決定に至ることは少ないので、まずはトライアルとか、一部業務は残そう、といった判断になる。合理的な判断がイノベーションを止めるんです。これが今スポーツビジネスにおいて、DXを阻む理由になっていると理解しています。
じゃあこれをどう突破するかというと、僕らが短期的に非合理的であっても、“5年10年後にめちゃくちゃ価値が出るであろう世界観”を信じ、発信し続け、開発を続け、そんな馬鹿みたいな妄想にに付き合ってくれる人としっかり取り組みを進めていくことが、僕らがやるべきことかなと。興行から「あれ今はできないけど将来やりたいよね」とか「なんかむちゃくちゃクレームきたけど未来感はあるよね」みたいに言われるような。否定的な人に寄り添うのではなく、めちゃくちゃ未来を見せて、その未来がすごく楽しいと思ってもらい、「なにそれ行きたい」って思わせる。それが僕らみたいな会社がすべき仕事かなと。
――今回PSBとオフィシャルパートナー契約を結んだ理由は?
まさに、スポーツ業界が発展していくためには、“5年10年後”のスポーツエンタメをいいものにしていくというビューで考えないといけない。業界全体のマインドセットを大きく変えていかないといけないし、そこに優秀な、ある種の変人たちを送り込んでいかないといけない。うちの会社の「夢を与える仕事を、夢の職業にする。」というミッションそのまんま、スポーツ業界を憧れの職業にしたいんです。そのためには、逆説的ですけど、憧れじゃない職業に憧れられるような人を投げ込まないといけないと思っていて、そういう人たちを育てるというPSBの考え方にすごく共感しました。そういうことをしないと僕らのミッションは達成できない、でも僕ら単体でやると絶対に成功しないと思っていたところに、僕ら自身が本来やるべきミッションをぴあさんから御提案いただいたので、もうこれはやるべきでしょ、やらせていたただきたい、と。
――PSBの受講生へメッセージをお願いします。
5年、10年とスポーツビジネスを発展させていくためには何が必要かという視点で物事を考えられる、既存のビジネスを理解した上で5年10年後ってどうあるべきかを自分で考えて自分で変えていくことができる人を輩出できたらすごくいいなと思っています。僕がそれに対してできるのは、起業家精神だけはひたすらインプットしようかなというところですかね(笑)。それって実は普通に仕事をしているとなかなか難しいですよね。新卒の頃から「正しいっていうのはこっちだ」と言われて育つことって、とても普通のことだし、当たり前に正しいことだったりするわけですけど、5年10年の話で言うと、イノベーションが出来なくなっていく理由になってしまう。実際にスポーツビジネスの現場に入ると現実が見えてしまうので、正しいことをしようと考えると思うんですが、そうじゃない観点もときには大事かもよってことを実際の現場に入る前にインプットできたらいいなと思っています。
PROFILE
伊藤圭史
playground 株式会社 代表取締役
KG Ito@令和のエジソン(と猫)
playground公式サイト
playground公式Twitter
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